Qtにおけるシグナルとスロットの仕組みとは?
Qtのシグナル&スロット(Signals and Slots)機構はオブジェクト間のイベント通信処理に用いられるQtの重要な機能です。その仕組みは C++ の機能と Qt のメタ・オブジェクト・システムに基づいています。
信号・スロットの仕組みを利用するには、まずシグナルとスロットを定義する必要があります。シグナルは、特定のイベントが発生したときに呼び出される関数を宣言したものです。スロットは、シグナルが出すイベントを処理するための通常のメンバ関数です。
信号が出力されると、1つ以上のスロット関数に自動的に接続され自動的にコールバックされます。この接続は動的で、実行時に追加・削除・修正することができます。
Qtのシグナルとスロットの仕組みは、メタオブジェクトシステムによって実現されます。各QObject派生クラスには、シグナルとスロットの定義などのクラスの情報が含まれるメタオブジェクト(QMetaObject)があります。メタオブジェクトを介して、Qtは実行時にシグナルとスロットを動的に接続できます。
クラスが信号とスロットを定義すると、Qt はコンパイル時にメタオブジェクトに関する記述情報を自動生成します。プログラムの実行時に、Qt はメタオブジェクトの情報を使い、信号とスロットのアドレスを検出し、接続関係を確立します。信号が発せられると、Qt は接続関係に従って、対応するスロット関数を自動的に呼び出します。
Qtでは、柔軟で簡潔なオブジェクト間通信手段としてシグナルとスロットの仕組みが採用されていて、このおかげでプログラムの設計がモジュール化され、拡張性が高まっています。さらに、メタオブジェクト・システムによって、シグナルとスロットの接続は安全であり、ヌルポインタ呼び出しやメモリアクセスエラーを引き起こしません。