TCPパケットを用いたルートトレーサー:Tcptraceroute
TCPパケットを用いた経路追跡ツールで、TCP SYNパケットを送信し、返ってきたパケットからネットワーク経路上にあるノードを特定します。従来のtracerouteツールがICMPパケットを使用するのに対し、tcptracerouteはTCPパケットを使用することで、ファイアウォールやフィルタをより効率的にバイパスできます。
tcptraceroute は次のように動作します。
- tcptracerouteはターゲットホストとポートを選択します。
- tcptracerouteはTCP SYNパケットを宛先ホストの指定ポートに送信します。
- ターゲットホストのファイアウォールやフィルターが接続を許可した場合、応答としてTCP RST パケットが返されます。
- ターゲットホストのファイアウォールやフィルタが接続をブロックした場合、応答として ICMP パケットを返します。
- もし返ってきたのがTCP RSTパケットであれば、tcptracerouteは経路上のノードを確定して次のノードへTCP SYNパケットを送信して追跡を継続する。
- tcptracerouteはICMPパケットが返されたらトレースを終了し、エラーメッセージを表示します。
tcptraceroute の利点:
- TCPパケットによるトレースルートではファイアウォールやフィルタを回避しやすくなる
- TCPデータパケットはアプリケーション層のプロトコルであるため、現実のアプリケーションのネットワークパスにより密着しており、より正確な追跡結果を提供できます。
- 特定のターゲットポートを指定して、特定サービスの到達可能性を確認できます。
ただし、tcptraceroute にもいくつかの制約があります。
- TCPパケットを使用するため、tcptracerouteは一般的な traceroute ツールよりも動作が遅くなる場合があります。
- TCPパケットを送信するには十分な権限が必要になり、そのためrootユーザーとして実行する必要があります。
- ファイアウォールやフィルターの制限により、tcptracerouteが完全な経路を追跡できない場合があります。
tcptracerouteは、TCPパケットを送信することで経路を追跡でき、正確かつ柔軟な追跡結果を提供する強力なネットワークツールです。ネットワーク管理者がネットワークの問題の診断、ネットワーク経路の正確な把握、特定サービスの到達性を検証する上で役立ちます。